【PJ 2007年06月29日】- 伊万里焼の中でも世界の至宝とよばれる鍋島(なべしま) 様式。この伊万里鍋島焼の風鈴が今年もまた話題を呼んでいる。今回で4年目となる、佐賀県伊万里市の大川内山(おおかわちやま)で開催中の大川内山風鈴まつり。地元の風鈴まつり実行委員会がまちおこしのために開催するイベントだ。6月20日から8月31日まで開催。
三方を岩壁や険しい山で囲まれた約8万4000平方メートルの大川内鍋島藩窯跡は、2003年に国史跡指定となった。風鈴まつりはその頃からはじまった新しいイベントである。伊万里鍋島焼協同組合が勉強会を開き、店舗のレイアウトやコーディネートについて訪れる客をもてなす工夫をみんなで試行錯誤しながら、秘窯の里づくりをしている。
日本で最初に磁器を完成させたといわれる鍋島藩。伊万里鍋島様式の磁器の風鈴は、長く培われてきた伝統に新しい技術が織り交ぜられた、洗練されたデザインが魅力的だ。直径約20センチの大風鈴は見ごたえがある。組合協働で作製した風鈴の型で素焼きしたものに、窯元が独自の絵を施し窯で仕上げる。個々の小さな風鈴の型おこし一つで10万円は超えるという。店先で数えただけでも15種類以上の型があった。また、形や技法によっては、一品ずつの手づくりになるそうだ。
風鈴まつりというと音が主役であるが、鍋島焼の風鈴は音色のみならず、美術工芸品としての観賞価値も高い。鍋島文様のモダンなデザインは若者にも人気が高い。風鈴は1200円から6000円程度の価格で販売されている。洗練された鍋島の文化を、窯元のもてなしとともに是非、味わってほしい。【了】
■関連情報
秘窯の里 大川内山 風鈴まつり・伊万里鍋島焼協同組合 開催期間:6月20日(水)~8月31日(金)まで
伊万里鍋島焼:日本で最初に磁器を完成させた鍋島藩は、御用窯を組織し、1675年に有田から大川内山へ藩窯を移した。諸大名、朝廷などへの献上品を専門に製作。最高級の陶技を外へ漏らさないよう関所を設け、陶工たちを厳しく管理するため、岩壁に囲まれた狭い谷間の大川内山を選んだ。その独得の風景から秘窯の里とよばれる。様式は、染付鍋島、青磁鍋島、色鍋島に分類される。
鍋島青磁:日本の青磁の始まりは、鍋島青磁。17世紀末から18世紀にかけて大川内で中国の砧青磁(きぬたせいじ)に近い青磁が生まれたという。鮮やかな青緑色をなし、釉薬が厚く掛けられているのが特徴。青磁石は今もなお現地の山から窯元の手によって採掘されている。
染付青磁桃文皿(そめつけせいじもももんさら)・染付鍋島、青磁鍋島
色絵桜樹文皿(いろえおうじゅもんさら)・色鍋島