音楽に心と体を癒やす力があるということは、30年にわたって音楽療法に関わってきたし、この10月4日で満103歳になられた音楽療法学会の理事長で医師の日野原重明先生が、今も立ったままで1時間の公演をこなされる姿を見ているだけでも、十分に納得できる。
でも、映画「パーソナル・ソング」はショックだった。
アメリカのソーシャル・ワーカーの男性が、アルツハイマーや認知症のために、記憶や生きる意欲を失った老人たちの耳に、昔、若い頃に好きで聴いていた音楽をヘッドホンで聴かせると、びっくりするほどの反応が起きるのだ。
これは老人ホームなどで、「赤とんぼ」や「ふるさと」などを歌っていても、決して起きることはない、実に鮮やかな「よみがえり」現象であると言っていいだろう。
果たして日本でも、こんな事は起きるのだろうか? 戦時中や戦後に青春を送った日本の老人たちは、果たしてその思春期に、どんな音楽を聴いていたのだろう。
この「パーソナル・ソング」という映画、12月にはロードショー公開されて、順次あちこちで見ることができるようになると思うので、ぜひ一度、自分の老後のためにも見ておいてほしいと思う。そして、自分ならどんな音楽を聴くことで「よみがえる」か、今から準備しておくのもいいかも…。