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読売新聞

15ページ、くらし家庭にて「彩事記」風鈴・・卓上、金…今風あれこれにて、風鈴演奏家が紹介されました。


《全文紹介》

風鈴・・卓上、金…今風あれこれ

街の雑貨店などで、さまざまな風鈴を見かけるようになった。なじみ深い鉄製の南部風鈴からキャラクターを模した陶製など、目にも耳にも楽しい。

生活雑貨専門店のロフトでは、10年ほど前から夏の風物として扱っている。懐かしさから買っていく年配世代が購買層の主流だったが、5~6年前からは20代が中心に。透明な吹きガラスの玉に絵を手描きした1個1000円前後の江戸風鈴が人気で、贈り物として買う人も多い。「手作りで一つとして同じ物がないという希少性もいいのでしょう」と担当者は話す。

風鈴の起源は中国の風鐸(ふうたく)。大名や豪商の楽しみだったが、江戸時代末期には庶民の生活に欠かせないものになる。

だが、高度経済成長とともに縁側も軒下もない住まいが増え、「騒音」と迷惑がられるようにもなり、消夏法の主役は扇風機やクーラーになっていった。

人気が復活した習景には、伝統工芸を守りつつ、今の暮らしや感覚に合わせた新しい風鈴の工夫もあるようだ。

東京都台東区に工房を構える風鈴職人の篠原正義さん(49)。

カラス風鈴を「江戸風鈴」と名付けて存続に力を尽くした儀治さんの二男で、16年前の独立以来、独創的な風鈴作りに取り組む。室内で楽しめる卓上型もその一つ。電気スタンドのように、小さな台座に柱が立ち、風鈴が下がっている。

神奈川県の川崎大師で7月に開かれる風鈴市は、11年前に始まり、今年は5日間で27万人の来場があった。各地の作り手に働きかけてきた結果、いまでは47都道府県から760種類、計2万4000個もが集まり、最終日にはほぼ売り切れる。鉄製火ぱしが触れ合う澄んだ音色で知られる兵庫県姫路市の「明珍火箸風鈴」、貴金属メーカーに働きかけて実現した「金の風鈴」や「プラチナの風鈴」などもある。

「風鈴演秦家」も登場している。吉田憤さん(38)は、23個のさまざまな風鈴を演奏し、シンセサイザーと川のせせらぎの音などを組み合わせた「風鈴ミュージック」を作り出した。3年前にCDを出し、静かな人気を呼んでいる。

神奈川県鎌倉市でのサロンコンサートをのぞいてみた。チリン、チリリリーンー。吉田さんが鳥の羽で次々に風鈴の短冊に触れていくと、やわらかく神秘的な空気が流れる。「日本の風鈴ほど音色がよく余韻が長いものはない。この良さを世界中に伝えたい」

風鈴が奏でる涼やかな音と、聴き入る人の和やかな表情ど。心と体を、澄みきった風が通っていった。

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