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芸術生活社「PLASMA」

数ページにわたり質疑応答形式で紹介されました。


世界中の人に、この音色を聴いてもらいたい
風鈴演奏家 吉田慎

風鈴演奏家として、どのような活動を?

風鈴を使って音楽活動を始めたのが2003年です。昨年は、全国各地の小学校や中学校、病院などで演奏会を100回以上開きました。
最近は夏場だけではなく冬場の演奏も増えてきました。
現在、厚木市を拠点に活動しています。
風鈴の演奏以外にも、私がケーナ(竹の縦笛)や太鼓などの民族楽器を演奏し、ボーカル担当のユンイが歌う日和HIYORI~風音&ユンイというユニットを結成して、近くの七沢の森で『七沢ヒーリングハーモニー』を定期的に開いています。
七沢の森は丹沢の麓で温泉があり、清流が流れているので『癒しの森』と呼ばれています。国土緑化推進機構が森林セラピーにも力を入れていて、都心から多くの人がやって来ます。

風鈴の歴史について教えてください

ガラスでできた江戸風鈴や南部鉄器でできた南部風鈴が日本ではよく知られていますが、他にも金属や陶器、木、竹炭、貝殻などの風鈴があります。現在、世界中の風鈴を80種類、200個以上コレクションしています。
風鈴の歴史は古くて、中国では物事の吉凶を占う道具として使われていました。
日本へは仏教の伝来とともに入り、厄よけとして使われていたようです。それが現在では魔法の音として、人々の癒しの道具に使われているのは不思議ですね。
風鈴は世界中にありますが、日本の風鈴の音色は繊細で奥深く、余韻が長いのが特徴です。

あの心地良い音色は癒されますね

日本古来からある風鈴の音色には、小川のせせらぎや小鳥のさえずり、あるいは心臓の鼓動のような自然界と同じリズムの「1/fのゆらぎ」という波動があるといわれています。
これには情緒を安定させる効果があるので、音を聞くとリラックスできます。また、高周波音は聴覚のゆがみを直したり、体のバランスを整える効果もあるようです。病気やストレスを抱える多くの現代人に役立つものなんです。

風鈴を使って演奏を始めるきっかけは

元々音楽が好きで、中学生の頃から音楽家を目指して曲作りをしていました。
当時はYMO全盛の時代で、坂本龍一さんの影響を受けてからは、シンセサイザーやピアノを使って作曲をしながらライブ活動を続けていました。
それから社会人になり、自分のイメージした 聴いていて 心地よい曲を作り続けていましたが、何かが足りないと感じていました。
そんな時にある人のコンサートで小さな鐘の音を聞き、少年時代に耳にした風鈴を思い出して「これだ」と思いました。
風鈴の音は、夏になればどこからともなく聞こえてくる身近なもので、安らぎの音でした。
さっそく、江戸風鈴や南部風鈴など4種類を買って、試しに演奏してみると、風鈴の繊細な音が自分のイメージにぴったり合い、演奏にのめり込みました。そして曲を7つ作り『風音』(kazaoto)というタイトルのCDを製作しました。こうして、風鈴サウンドが誕生したんです。

風鈴演奏家としての最初の仕事は

活動を始めてすぐに、愛知県の旧東加茂郡から作曲の依頼がきました。
風鈴の町として町おこしに活用するために曲を使っていただくという大役でした。
清流・矢作川が流れ、そこに暮らす人々や、少年時代の夏休みに遊び回った故郷に思いをはせるような曲を、シンセサイザーと風鈴で作りました。
『遥なる空』というタイトルです。
作曲活動は長年していましたので、3カ月ほどで完成しました。

演奏スタイルを聞かせてください

演奏に使う風鈴は11種類、30個あります。それとミキサーやスピーカー等の機材を車に積んで全国を回っています。
ステージでは、自分の前に江戸風鈴を音階順に横に並べます。
その右側には、サヌカイト風鈴、小田原風鈴、南部風鈴3つと真ちゅう風鈴が2つ。
左側には中国風鈴、明珍風鈴、備長炭風鈴、貝殻風鈴、ウインドチャイムが並び、私を囲むようになっています。
演奏会場は個人宅からカフェレストラン、ショッピングセンター、学校の体育館や病院、本格的なホールまでさまざまですから、会場にあわせて皆さんが最高の演奏を聞けるようにセットするのが大変なんです。
風鈴の音は繊細ですから、回りのいろんな音の影響を最小限にするために、セッティングにはたっぷり時間をかけます。
お客さんが小人数でしたら近くで生で聞くことができますが、人数が多くなればマイクで音を拾って、スピーカーから流れるようにセットします。
これで1000人規模の広さの場所でも音が聞けるのですが、このシステムになるまで試行錯誤を繰り返しました。

音を出す方法は?

最初は口で短冊に息を吹きかけていましたが、これだと息切れして続かないんです(笑)。
次にうちわで短冊をあおいだら良い音が出たんですが、回りの風鈴も一緒に鳴り不向きでした。
いろいろ試しているうちに、はたきでなでてみたら、自然の風のように短冊がなびいて良い音色が出ました。
そこで、見た目にも良い鳥の羽を束ねたのものを自作して使っています。

演奏に使われている風鈴は特注品ですか?

いえ、特注品ではありません。
東京にある製造元に行って、倉庫に置いてある何千個という風鈴を鳴らして、各音階に合うものを探
し出して、買い求めたものを使っています。
江戸風鈴はガラスでできており、鳴り口がギザギザになっているので、音が触れ合って微妙に変化するため1/fのゆらぎが発生します。
レパートリーはオリジナル曲を含めて50曲あるので、主にこれらを演奏しますが、老人ホームや病院では童謡や歌謡曲など、なじみのある曲やると大変喜ばれますね。
有名な『アメージンググレース』なども演奏します。
幻想的な曲に、皆さん耳を澄ませて聞いてくださいます。

録音、編集からCD発売の告知、営業までご自身でされているのですね

録音には、無響音室を借りています。
心をクリアにしたり、心地よく満足して聞いていただくためには、まず自分が納得するもので なければなりません。
演奏や録音、編集とすべてに納得できるように取り組んでいます。
CDの発売やコンサートの告知などは、ホームページなどでお知らせしています。

今後の活動への抱負を聞かせてください

昨年のクリスマスに『雪の物語』というCDをリリースしました。
実は風鈴は冬にもとても合うんですよ(笑)。
ですから、いつかテレビで風鈴年越ライブをしたいですね。
日本人の風鈴のイメージは、軒先につるして音色を聞く夏の風物詩ですが、この固定観念を変えて、年中楽しめるようにするのが私のライフワークです。
さらにオーケストラをバックに風鈴演奏をしたいです。
今年も東京や福島でのサロンコンサートや、関西や北海道でも「光りとゆらぎコンサート」などの演奏活動をします。
将来は世界中の人に聞いてほしいと思っています。
その手始めとして、まず来年、フランスで演奏する予定です。
ゆくゆくは国内半分、海外半分の日程で活動したいと考えています。
そして、厚木市の癒しの森の七沢に演奏ホールを作り、いつ来ていただいても演奏を聞いてもらえるようにしたいです。

よしだ しん
神奈川県生まれ。日本音楽療法学会会員。2003年、風鈴のCD『風音』をリリース。翌年、風鈴演奏家として活動を始 める。愛知県東加茂郡の町おこし曲『遥かな空』を作曲。『首都圏ネットワーク』『ゆうどきネットワーク』(NHK)、『ズームイン!SUPER』(日本テレビ)などにも出演。『出没! アド街ック天国』(テレビ東京)では、七沢の癒しの森をガイドする世界でひとりの風鈴演奏家」として紹介された。風鈴やケーナの演奏CDを多数リリースしている。
http://www.lifeact.jp/kazaoto/

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