夏本番を前に、愛媛県砥部町の窯元で砥部焼の風鈴作りが最盛期を迎えている。磁器の風鈴は高く澄んだ音が特徴。作業場に涼しげな音色が響いている。
今年は十数軒の窯元が風鈴を制作。同町千足の千山窯では27日、職人が直径9センチの素焼きを手に取り、三つ紋唐草や小雪など五つの柄を絵付けしていた。蛸(たこ)唐草を描く作業では勢いのある筆さばきで唐草を表現し、吸盤に似た葉の模様はバランスを確認しながら一つ一つ丁寧に仕上げていた。
絵付け歴30年の白潟みはりさん(53)は「絵の具の濃淡や筆遣いから温かさを感じられるのが手仕事の良さ。心洗われる音を聞いて、少しでも涼を感じてもらえるとうれしい」と筆を進めていた。
6月中旬までに約200個を制作する予定。