甲冑(かっちゅう)師の家系を引き継ぐ明珍家の歴史や取り組みを紹介する特別展「MYOCHIN 伝統の継承と新たな飛躍」が、姫路市西今宿の圓山(えんざん)記念日本工藝美術館で開かれている。過去の明珍家による武具から文献資料、人気の「明珍火箸」まで約90点が飾られている。12月4日まで。
明珍家は平安時代に起き、甲冑の名品を生み出してきた鍛冶師の家系。戦国時代に明珍家の甲冑は名を馳せ、江戸時代には、全国に子孫が移り住んだ。だが、明治に入り、武具の需要が減り、姫路の明珍家は火箸生産に本腰を入れた。戦後は現当主の宗理さん(74)が、火箸がふれ合い澄んだ音を奏でる「明珍火箸風鈴」を考案し、時代を生き抜いてきた。現在は姫路市伊伝居の明珍本舗で伝統は引き継がれている。
展示では、鉄を鍛え、入魂の作品を作り続けてきた明珍家の伝統と美学がうかがわれる。同市夢前町に鍛刀場を開設した次男、宗裕さん(42)の日本刀にも目を奪われる。デザイン性の高い鉄製火器、チタン素材の火箸風鈴など現代的な作品も並ぶ。宗理さんと共に火箸などを作る三男、敬三さん(40)は「時代の変化に適応し、現代に技術を継承した姿を多くの人に見てほしい」と話す。
午前10時~午後5時開館。毎週月曜休館。観覧料は大人600円、大学・高校生500円、中・小学生300円。問い合わせは同館(079・292・3433)。