夏本番を前に、鍋島藩窯(はんよう)の伝統を継承する佐賀県伊万里市の大川内山(おおかわちやま)地区で、磁器製の風鈴作りが繁忙期を迎えている。
同地区の泰仙窯(たいせんがま)では、伝統工芸士の川副隆夫さんから2年前に後を継いだ長男泰治さん(44)らが5~25センチの大小約20種類の風鈴を約200個手作りする。
泰治さんが成形した風鈴に妹の智恵美さん(43)が吉祥柄の波や自ら考案したキノコ、動物などがモチーフの文様を顔料で丁寧に絵付けしていた。「磁器ならではの澄んだ音色で厳しい暑さを一時でも忘れてもらえたら」と智恵美さんは話す。
同地区では8月31日まで「風鈴まつり」を開催中。29の窯元の軒先や店内には意匠を凝らした風鈴が飾り付けられ、観光客らに涼を届けている。