伊豆半島ジオパークのジオサイトに認定されている「河津七滝(ななだる)」(河津町梨本)で現在、夏イベントとして「風涼渓(ふうりょうけい)」と「カニ滝ナイトウオーク」が開かれている。(伊豆下田経済新聞)
ジオパークは日本全国に46地域あるが、伊豆半島ジオパークはそのうち10地域しかない世界ユネスコジオパークの一つ。日本の本州は、ユーラシア、オホーツク、フィリピン海という3つのプレートがぶつかる位置にあるが、伊豆半島は本州で唯一、フィリピン海プレート上にある。約2000万年前には数百キロもの南の海底火山群だったものが、噴火活動を繰り返しながらフィリピン海プレートの北上とともに移動し、約60万年前に本州に衝突して現在のような半島の形になった。
その後もプレートによる地殻変動や火山活動が続いた伊豆は、入り組んだ海岸地形や断層が見られ、ブナなどの原生林や海洋生物の多様性など独特の自然環境が育まれた。プレートの動きは現在も続いている。
河津七滝は約850メートルの遊歩道沿いに、文字通り7つの滝が連なり、その全てがジオサイトに指定されている。上流から、釜滝、エビ滝、蛇滝、初景滝、カニ滝、出合滝、大滝と名付けられ、それぞれ特徴的な形状をしている。滝の周辺ではジオサイトの見どころの一つである、溶岩が冷えて収縮して柱状に固まった「柱状節理」と呼ばれる岩肌も見ることができる。
「風涼渓」では、初景滝付近に約60個の色とりどりの風鈴を飾る。今年で10年目の取り組みで、目と耳で涼しさを感じることができるという。風鈴は地元の「七滝茶屋ガラス工房」が作っているもので、「七滝風鈴」として販売も行っている。
「カニ滝ナイトウオーク」は「夜の七滝も楽しんでもらおう」と遊歩道をライトアップするもので、5年前から行っている。遊歩道を、だいだい色、カニ滝を水色の光で照らし、幻想的な雰囲気の中でカニ瀧までの散策を楽しむことができるようにする。
河津七滝観光協会の鈴木彰治会長は「七滝に宿泊するお客さまの夜の楽しみができた」と手応えを話す。「河津七滝はミシュランのグリーンガイドで2つ星を獲得しており、地域の財産。案内看板をもっと工夫したり、丁寧に環境整備をしたりして、満足度をさらに高められるよう努力を継続していきたい」と力を込める。
ナイトウオークの開催時間は19時~21時。両イベントとも8月31日まで。