県内で唯一、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に選定されている栃木市の嘉右衛門町(かうえもんちょう)地区で二十一~二十三日、県伝統工芸品の「新波(にっぱ)の提灯(ちょうちん)」(同市)や「天明(てんみょう)鋳物」(佐野市)の風鈴が飾られる。郷愁を誘う明かりと心地良い音で歴史ある町並みを引き立てて、夏の夕暮れに涼気を感じてもらおうと、両市の地域おこし協力隊員が考えた。 (吉岡潤)
発案したのは、四月に栃木市の隊員に就任した鶴田菜々子さん(28)と、佐野市で一月から隊員を務める大塚由香里さん(33)。鶴田さんは兵庫県から移り住んだ嘉右衛門町地区の活性化に知恵を絞る。大塚さんは栃木市出身のカメラマンで、天明鋳物のPRに励む。
今回の企画では、栃木市のブランド品でもある新波の提灯をはじめ、地区内の住民や自治会が保管していて屋号が入っているものなど約八十張りのちょうちんを旧日光例幣使街道沿いの軒先に掲げ、各日午後五~八時に点灯する。
そして二十個の天明鋳物の松笠(まつかさ)風鈴を並べる。また二十二日午後五~六時に浴衣姿で地区内の神明神社を訪れれば、大塚さんが無料で写真を撮影し、データをプレゼントする。
両市の魅力をともに発信する企画は、二人の個人的な交流から生まれた。鶴田さんによると「大塚さんに鋳物の風鈴について聞き始めて、二時間くらいでこんなことやろうと決まりました」。地域おこし協力隊員らしいフットワークの軽さだ。
鶴田さんは「地元の人に自分のまちをより愛してもらいたくて、参加型の催しにした」と話す。大塚さんは「佐野でも天明鋳物を知らない人はいる。より多くの人に知ってもらう機会になればうれしい」と期待する。
雨天中止。問い合わせは、栃木市蔵の街課=電0282(21)2168=へ。