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型を使わず空中で吹き上げる 「江戸風鈴」の作り方(東京)

 蒸し暑い日本の夏に、涼を感じるアイテムとして愛されている風鈴。見た目に涼しいガラス製や、南部鉄器で作られた南部風鈴など種類もさまざまだ。
「現在のガラス風鈴といえば透明なものが主流ですが、昔は魔除けの意味をもつ赤色が9割以上だったんです」
 そう話すのは、大正4年の創業以来、江戸風鈴を作り続けている「篠原風鈴本舗」取締役の篠原恵美さん。江戸風鈴という名称は、現在91才の風鈴職人、2代目・篠原儀治さんが名づけたものだ。
 江戸風鈴は、型を使わず空中で吹き上げる“宙吹き”という技法で作られる。
「江戸風鈴は、吹き上げたガラスの一部を手作業で切り離して、鳴り口を作っています。切りっぱなしでは、ちょっと触れただけでも手が切れてしまうので、やすりで危なくないように削り、ギザギザに整えています。なめらかすぎるとガラス棒が滑って音が鳴らないので、程よい加減にとどめるのが大切です」(恵美さん)
 昔は、ガラスを溶かす炉の燃料にコークスを使っていたため、火の調節が難しく、作業中に何度も確認が必要だったが、現在は電気制御されているため、安心して宙吹きの作業に専念できるという。
「1日に300個くらいは膨らますことができるんですが、絵までかけるのはその半分くらい。日中は、見学者たちの対応や事務仕事もあるため、絵付けは夜の作業が中心。昨夜も3時くらいまで絵付けをしていました」(恵美さん)
 4代目の篠原由香利さんが手がけた、現代的なデザインの「江戸風鈴TOKYO」(たそがれ〈赤〉風鈴本体:直径約8cm×高さ約7cm、全長:約32cm、重さ約50g 9720円)は、東京タワーやスカイツリー、浅草寺などの東京名所がシルエットで浮かび上がり、評判がいい。
 すべて手作りのため、同じ形、同じ絵柄のものでも、音が異なる。最近は、やや高い音が好まれているようだ。
■江戸風鈴作りの手順
【1】1320℃で溶かしたガラスタネを竿に1円玉くらい巻き取り、少し膨らませて口玉を作る。口玉の上半分に再度ガラスを巻き、膨らませて形を作る。
【2】竿から切り離して約20分冷まし、手で触れる温度になったところで下半分の口玉部分を切り離して、やすりで削る。
【3】内側から絵を描き入れ、ガラス棒をつけて音が鳴るように整え、風を受けやすくする短冊をつけて完成。風鈴職人として一人前になるには最低10年はかかるという。

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