夏本番を前に、東京都江戸川区の「篠原風鈴本舗」で江戸風鈴作りが最盛期を迎えている。作業場では職人が黙々と筆を動かし、1日100個ほどに全て手作業で絵付けをしていく。出荷のピークは7月末まで続く。
同店は1915年創業。風鈴が心地よい音を奏でるよう縁をギザギザにし、型を使わない「宙吹き」という技法で作るのが特徴。手作りのため一つとして同じ形、音はないという。
新型コロナ禍で、観光客の土産需要や夏祭りへの出荷が減ったが、「疫病封じの妖怪『アマビエ』を描いた風鈴の人気に救われた」と社長の篠原恵美さんは振り返る。
コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行した後は、修学旅行での風鈴作り体験や外国人観光客の来店が増えている。かつての日常を取り戻し始めた夏に伝統の音色が涼を届ける。