金沢市寺町3丁目に寺院群の鐘や風鈴の響きにこだわった宿泊施設が1日、オープンする。金沢工大などによる寺町町家再生プロジェクトの一環で、築100年を超える建物を改装した。「残したい日本の音風景100選」に選定されている寺院群の鐘の音に親しむ拠点として活用する。全国の風鈴を集めたギャラリーを常設し、オリジナルの「かなざわ風鈴」作り教室も開く。
土田義郎金沢工大教授の研究室と同大卒の建築士やまだのりこさん=金沢市=が手掛けたゲストハウスで、「てらまちや 風心(ふうしん)庵(あん)」と名付けた。土田教授によると、寺町寺院群の鐘の音は環境省の「日本の音風景100選」の一つながら、鐘の突き手が減っており、寺町ならではの音風景をより多くの人に発信し、守っていく取り組みにつなげようと施設を開設した。
今後、施設を拠点に市民や観光客が気軽に鐘を突いたり、伝統的な寺社や町家が集積し、歴史文化が息づく寺院群一帯を巡ったりする企画を検討していく。
ギャラリーには土田教授が30年にわたって収集した風鈴を飾る。伸びやかな余韻の砂張(さはり)風鈴や備長炭の風鈴など珍しい品も多く、自由に鑑賞できる。土曜にはカフェを開設する。
土田研究室が金沢の音風景をつくろうと考案した「かなざわ風鈴」のワークショップを予約制で開催していく。
建物はかつて畳店だった。町家の風情を残すため、昔ながらの瓦や鏡台、トイレのタイルなどを再利用した。1棟貸し切りの町家として宿泊することができる。
土田教授は「市内外の人に気軽に立ち寄ってほしい。まず音に触れ、寺町一帯の伝統にも興味を持ってもらえればいい」と話した。