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音色楽しむ金沢の宿/石川  


犀川の水、寺町の鐘、風鈴60種…
元畳店の町家改修
 風鈴や寺の鐘などの音色を楽しめるゲストハウス「てらまちや風心庵(ふうしんあん)」が今月、金沢市寺町三に誕生した。築百年の元畳店を改修した風情のある造りで、風鈴のギャラリーも設けられている。近くを流れる犀川や、環境省「残したい日本の音風景百選」に認定されている寺町寺院群などを巡る「音のある風景ツアー」も企画していく。(押川恵理子)
 風心庵の玄関を開けると、六十種類の風鈴が出迎えてくれる。「カンカン石」と呼ばれる讃岐石の風鈴は高く澄んだ音を奏でる。備長炭の風鈴は乾いた音、とそれぞれ違いがあって趣がある。和紙と真ちゅう、五円玉で作った金沢工業大(石川県野々市市)のオリジナル風鈴は音が控えめだ。オーストリア製は鉄琴に似た音を響かせる。
 風鈴は、オーナーで金沢工業大教授の土田義郎(よしお)さん(56)が集めた。「風鈴の音を聞くと、自然の揺らぎを感じられる。集めだしたら、そのまま集めてしまった。これだけの数の風鈴を通年で見られる場所は日本でここだけでしょう。たぶん世界でも」と笑う。
 「音は自然や文化への感受性を高めるきっかけになる。見栄えが良くても騒音だらけといった『張りぼて』ではない景観を残す活動につなげたい」
 建物の改修は、金沢工業大出身の建築士やまだのりこさんが手掛けた。町家の味わいを残しつつ、耐震性や断熱性などを高めた。一階の土間と和室が、風鈴のギャラリーになっており、不定期で開くカフェにも使う。二階の和室とロフトが客室だ。
 風心庵は金沢工業大のサテライト研究室も兼ねている。音響や環境の変化で、特定の職場を持たない「ノマドワーク」の生産性がどう変化するかといった実験などもする予定だ。
 カフェ営業日の問い合わせは「てらまちや風心庵」=電076(209)7912=へ。

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